「月の沙漠」は何処に…。

特別に旅好きと言うわけではないけれど、何処か知らない異国の地を想像してみることがある。
例えば、沙漠の国なんかどうだろう…。

そう思うのは誰もが同じなのか"クインテット 2006年10月30日放送分"でも、シャープ君が持って来た砂時計から、みんなはそれぞれに沙漠への思いを語る。

『月の沙漠』(作詞:加藤まさを 作曲:佐々木すぐる)

「月」と「沙漠」。どちらも不思議な存在。日々姿を変えつつ私達の前に姿を現す「月」と、雨量が少なく植物がほとんど生育できない砂ばかりの荒野、「沙漠」。

その月の沙漠を二頭の駱駝に乗って行く二人、王子様とお姫様。
身分が高いであろう二人にとってこの旅は辛いものなのだろうか?朧月夜をとぼとぼと駱駝は黙って歩いて行く。二人の行く先にはぼんやりと霞んだ世界が広がっているように思える。月はその象徴か?
なんだか永遠にこの旅が終わりそうにないような、そんな風にも感じてしまう。

「月の沙漠」は大正十二年三月の「少女倶楽部」に掲載されている詞を見て作曲されたといわれている。
抒情画家、抒情詩人である加藤まさを。
病弱だった彼が保養の地としていた千葉県御宿町。御宿の浜の砂丘を見てつくられたといわれているこの詞。一面の砂の上に立ち、彼もまた異国の地、沙漠を思いこの詞を書いたのだろうか…。そんなことを想像してみるのも楽しい。

【砂漠と沙漠】

現代では旧字体の「沙」ではなく「砂」を用いる事がほとんど。
でも「砂漠」が砂ばかりの荒野のことを言うのに対し、さんずい偏に少ないと書く「沙」の字は、「沙漠」が雨量が少なく作物の収穫も少ない土地である事を表している。